土地契約まで(その2) - 特約条項の交渉から重要事項説明まで

契約不適合責任の免責条項について交渉を試みるも、個人売主との取引の難しさを実感。それでも土地の魅力と価格を優先し、リモートでの重要事項説明を経て契約へ向けて前進
土地契約まで(その2) - 特約条項の交渉から重要事項説明まで

特約条項についての交渉結果

前回の記事で契約不適合責任の完全免責について懸念を示し、不動産会社に条項修正を求めました。3 日後、不動産会社から回答がありました。

不動産会社からの回答内容

1. 契約不適合責任について

私の要望: 完全免責ではなく、引渡しから 3 ヶ月間は一定の責任を負ってもらいたい

不動産会社の回答: 「契約不適合責任の上限設定が有効かは、法律の専門家への相談が必要です。個人の売主が業者のように契約不適合責任を負う場合、売主によっては売買代金の見直しを検討される可能性があります。」

私の心の声: 個人間の契約なのだから、双方が納得すれば良いはず。むしろ一切の免責の方が問題があるのではないかと感じました。

2. 地中埋設物について

私の要望: 撤去費用 50 万円までは売主負担としたい

不動産会社の回答: 「地中埋設物は建物基礎や配管は解体業者が撤去します。水道メーターや下水道の桝は残します。宅地造成地であり、現在建物が建っているため可能性は低いですが、地下に岩盤があった場合や土質改良等があった場合は撤去が困難です。自然由来の岩盤や地質について契約不適合責任を問うのは、個人が売主の仲介取引においては厳しいです。」

私の評価: 建物基礎や配管の撤去については理解できましたが、解体業者の作業が不十分で残ってしまうリスクは残ります。

3. 土壌汚染について

私の要望: 住宅建築に支障をきたすレベルの場合は売主に一定の責任を

不動産会社の回答: 「土壌汚染の瑕疵の基準が不明です。汚染物質等の種類や濃度がどの程度から瑕疵(契約不適合)となるのか分かりません。」

私の反論: 土壌汚染対策法で物質も基準値も明確に記載されているはずですが……。

除草と越境物についての回答

良い知らせがありました:

  • 除草: 建物解体時に一緒に除草する
  • 越境物: 市に確認した上で撤去する

この 2 点については要望通りの対応をしてもらえることになりました。

交渉結果を受けての判断

リスクを受け入れる決断

正直なところ、契約不適合責任の免責については納得できない部分もありました。しかし、以下の理由から、このリスクを受け入れることにしました。

リスク受け入れの理由:

  1. 価格の魅力

    • 相場より約 400 万円安い
    • 値下げもされている
    • この価格差でリスクをカバーできると判断
  2. 土地自体の魅力

    • 立地条件が理想的
    • 形状が使いやすい
    • 生活利便性が高い点
  3. リスクの可能性は低い

    • 現在建物が建っている宅地造成地
    • 大きな問題が発生する可能性は低い
  4. 時間的制約

    • これ以上交渉を続けると他の購入希望者に取られるリスク
    • 既に 4 月下旬で、建築スケジュールを考慮すると決断が必要

不動産会社への複雑な思い

回答内容から不動産会社への不信感は増しましたが、一方で以下の点では助かっている部分もありました。

  • 契約手続きをリモートで対応してくれる
  • 一条工務店との連携をサポート
  • 境界明確化の調整をしてくれた

総合的に見て、良し悪しが相殺される印象です。

重要事項説明の日程調整

リモートでの実施を決定

交渉が一段落し、いよいよ重要事項説明を受けることになりました。

実施方法の検討:

担当者「重要事項説明はどちらで実施しましょうか?現地にお越しいただくことも可能ですし、リモートでの対応も可能です。」

私「リモートでお願いできますか?」

担当者「もちろん可能です。一条工務店様の展示場をお借りして、一条工務店の担当者様にも同席いただく形はいかがでしょうか?」

私「それが良いですね。ぜひお願いします。」

日程と場所の決定

  • 日時: 5 月中旬の平日午後
  • 場所: 一条工務店の住宅展示場
  • 参加者: 私、一条工務店担当者、不動産会社(リモート)
  • 方法: Zoom によるオンライン説明

重要事項説明の当日

オンライン会議のイメージ

展示場での準備

いつもの住宅展示場に到着すると、一条工務店の担当者が既に Zoom の準備を整えてくれていました。

担当者「本日は私も同席させていただきます。何か不明な点があれば、遠慮なくご質問ください。」

私「心強いです。よろしくお願いします。」

重要事項説明の内容

不動産会社の宅地建物取引士から、約 1 時間にわたって説明を受けました。

主な説明項目:

  1. 物件の概要

    • 所在地、面積、地目
    • 用途地域、建ぺい率、容積率
    • ハザードマップ該当
  2. 権利関係

    • 所有権の状況
    • 抵当権等の有無(なし)
  3. 法令上の制限

    • 都市計画法、建築基準法の制限
    • その他の法令による制限
  4. インフラ関係

    • 上下水道、都市ガス、電気
    • 前面道路の状況
  5. 契約条件

    • 売買代金と支払い方法
    • 手付金の取り扱い
    • 引渡し時期
  6. 特約条項の確認

    • 契約不適合責任の免責
    • 建物解体と更地渡し
    • 境界明確化について

引渡し日の決定

解体スケジュールとの調整

不動産会社「建物の解体作業は 6 月中旬から開始予定です。工程により前後する可能性もありますが、7 月末を引渡し日として設定したいと思います。」

私「7 月末であれば、建築開始のスケジュールとも合いそうです。」

一条担当者「そのスケジュールであれば、8 月に地盤調査を行います。」

質疑応答

重要事項説明の後、いくつか質問をしました。

私の質問と回答:

Q1. 境界確認書はいつ作成されますか?
A. 契約後、解体作業開始前に南隣地の方と調整して作成します。

Q2. 万が一解体が遅れた場合は?
A. 引渡し日を延期することになりますが、その場合は事前にご連絡します。

Q3. 固定資産税の精算はどうなりますか?
A. 引渡し日を基準に日割り計算で精算します。

Q4. 固定資産税はいくらくらいですか?
A. およそ 43,000 円です。

重要事項説明を終えて

一条工務店担当者のサポート

アドバイスのイメージ

重要事項説明が終わった後、一条工務店の担当者から貴重なアドバイスをいただきました。

担当者「契約不適合責任の免責は確かにリスクですが、価格を考慮すれば妥当な判断だと思います。」

私「そう言っていただけると安心します。」

担当者「これまでの経験上、宅地造成地で大きな問題が出ることは稀です。ただし、地盤調査の結果次第では改良が必要になる可能性はあります。」

私「地盤改良費用はどのくらいを見込んでおけば良いでしょうか?」

担当者「この地域だと、必要な場合でも 50 万円から 100 万円程度が一般的です。予算には余裕を持っておいた方が良いでしょう。」

契約に向けての心境

重要事項説明を受けて、いよいよ土地購入が現実のものとなってきました。

この時点での気持ち:

  1. 期待

    • 理想的な立地で家を建てられる
    • 7 月末の引渡しなら年内着工も可能
  2. 不安

    • 契約不適合責任免責のリスク
    • 地盤改良の必要性と費用
  3. 決意

    • リスクはあるが、この土地で家を建てたい
    • 独身だからこそ、自分の判断で前に進める

次のステップ

重要事項説明が完了し、次はいよいよ土地売買契約の締結です。

今後の予定:

  1. 土地売買契約の締結
  2. 手付金の支払い
  3. 境界確認書の作成
  4. 建物解体の開始(6 月中旬)
  5. 残金決済と引渡し(7 月末)

まとめ

契約不適合責任の免責という大きなリスクを抱えることになりましたが、土地の魅力と価格を天秤にかけて購入を決断しました。

この段階で学んだこと:

  • 個人売主との取引には限界がある
  • リスクと価格はトレードオフの関係
  • 不動産会社の対応には差がある
  • 一条工務店のサポートの心強さ

独身で土地を購入するということは、全ての責任を一人で負うということです。
しかし、だからこそ自分の判断で迅速に決断でき、理想の家づくりへ一歩ずつ近づいていると実感しています。

次回は、一条工務店と本契約の締結について記事にしたいと思います。
実は重要事項説明と契約に問題がなければ、同日に一条工務店とも本契約を締結する段取りを組んでいました。

初めての土地購入で不安もありましたが、リスクを理解した上で前に進む決断をしました。 同じように土地購入で悩んでいる方の参考になれば幸いです。