仮契約後、土地購入手続きが本格始動
前回の記事で一条工務店との仮契約を締結し、いよいよ山口県での土地購入の手続きが本格的に始まりました。
仮契約の翌日、一条工務店の担当者から連絡がありました。
担当者「土地の購入手続きを開始します。不動産会社とのやりとりは私が窓口になりますので、○○ 様には必要書類の準備をお願いします。」
私「よろしくお願いします。どのような流れになりますか?」
担当者「まずは買付証明書を提出し、売主様の承諾をいただいてから契約書の作成に入ります。」
買付証明書の準備
買付証明書とは
買付証明書(購入申込書)は、土地を購入したい意思を売主に示すための書類です。法的拘束力はありませんが、購入の意思を明確に伝える重要な書類です。
記載内容の確認
一条工務店の担当者が買付証明書の草案を作成してくれました。
主な記載内容
- 購入希望価格:売主希望価格通り
- 手付金:30 万円
- 決済希望日:7 月中旬(建物解体完了後)
- ローン特約:現金決済のため無し
特に重視した条件
私が最も重視した条件を明記してもらいました。
「南隣地との境界を明確化すること」
具体的には以下の内容です。
- 南隣地所有者との境界確認書の作成
- 境界標の設置(必要に応じて)
- 上記が困難な場合は覚書等による境界の合意
手付金の金額について
手付金の相場
一般的に手付金は購入価格の 5 ~ 10%とされています。今回は約 7%としました。
手付金の性質
担当者から説明を受けた手付金の性質:
- 契約成立の証拠金としての性格
- 買主の契約解除権の対価(手付放棄による解除)
- 売主の契約解除の場合は手付金の倍返し
私「もし私の都合で契約解除する場合は 30 万円を放棄することになるのですね?」
担当者「その通りです。ローン特約がある場合は審査落ちの場合は返金されますが、今回は現金決済なのでここは関係ありません。」
買付証明書の提出
一条工務店経由での提出
担当者「買付証明書は私から不動産会社に提出します。○○ 様から直接やりとりしていただく必要はありません。」
私「窓口を一本化していただけるのは助かります。」
買付証明書は 4 月 18 日に提出されました。
売主からの承諾
承諾の連絡
4 月 21 日、担当者から嬉しい連絡がありました。
担当者「売主様から承諾をいただきました!境界明確化の条件も受け入れていただけます。」
私「良かったです!具体的にはどのような形で境界を明確化するのでしょうか?」
担当者「不動産会社が売主様と南隣地の所有者の間で境界確認書を作成し、買主様にも承継される形になります。」
境界明確化の具体的内容
境界確認書の作成
- 売主と南隣地所有者が境界線について合意
- 書面による境界確認書を作成
- 境界確認書は土地売買契約に添付
契約書案と重要事項説明書の送付
書類の受領
売主の承諾から 5 日後、不動産会社から以下の書類が送付されました。
- 土地売買契約書案
- 重要事項説明書案
- その他添付書類(公図、測量図など)
重要事項説明書の確認
重要事項説明書は宅地建物取引士が説明すべき重要事項をまとめた書類です。13 ページに及ぶ内容でした。
主な記載内容
- 売主・買主の情報
- 土地の所在・面積
- 用途地域・建ぺい率・容積率
- 道路との関係
- ハザードマップ該当事項
- 上下水道・都市ガス等インフラ状況
- 土地の権利関係
特に注意深く確認した項目
- 境界について
- 「境界確認書により南隣地との境界を明確化」と記載あり
- 法的制限
- 用途地域:第一種低層住居専用地域
- 建ぺい率:40%、容積率:60%
- 高さ制限:10m
土地売買契約書案の検討
契約書案は約 10 ページにわたる詳細な内容でした。
一般的な契約条項
契約書の大部分は不動産売買における定型的な条項です。
- 売買代金と支払い条件
- 所有権移転時期
- 引渡し条件
- 公租公課の分担
- 契約違反時の処理
重要なのは特約条項
契約書案で最も注意深く確認したのは「特約条項」の部分です。
契約条項は定型フォーマットなので読み合わせで確認できますが、重要なのは特約条項です。
特約条項の内容と懸案事項
特約条項には、解体スケジュールによっては引渡し日に間に合わない場合は別途調整など、問題ない内容が多かったですが、一部気になる条項もありました。
特約条項の主な内容
- 売主は契約不適合責任を一切負わないものとする
- 本物件の引渡し時に売主は除草等の清掃は行わない
- 東境界から越境物(枝)あり
契約不適合責任の免責についての懸念
契約不適合責任とは
2020 年の民法改正により「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変更された制度です。
- 引き渡された目的物が契約に適合しない場合の売主の責任
- 買主は修補請求・代金減額請求・契約解除・損害賠償請求が可能
免責条項の問題点
私が懸念したのは以下の点です:
- 土壌汚染が発見された場合
- 住宅建築に支障をきたす土壌汚染があっても売主は責任を負わない
- 地中埋設物
- 建築時に大きな地中埋設物が発見されても撤去費用は買主負担
除草と越境物の懸念
土地は古屋ありの解体更地渡しで、現況で雑草等がかなり生い茂っていたため、売主負担で除去した上で引渡ししてほしいと不動産会社に相談しました。 東隣地は市の所有地で越境物は市に確認して取り除いた上で引渡ししてほしいため、これも不動産会社に相談です。
一条工務店担当者への相談
この特約条項について、担当者に相談しました。
私「契約不適合責任の免責条項が気になります。万が一大きな問題があった場合、全て買主負担になってしまうのでしょうか?」
担当者「個人売主の場合、この免責条項は珍しくありません。ただし、ご心配はよく理解できます。」
私「何か対策はあるのでしょうか?」
担当者「いくつか方法がありますが、まずは不動産会社に相談してみましょう。完全免責ではなく、一部責任を残してもらえる可能性もあります。」
私「除草について、かなり雑草が生い茂っているので除草してもらった上で引渡しにできないですか?」
担当者「解体作業があるため、それと一緒に実施すれば大きな負担ではないと思われるので確認してみます。」
私「東の越境物ですが、これも取り除いてほしいのですが。」
担当者「こちらも確認してみます。」
契約書案への対応方針
検討した選択肢
- このまま契約
- リスクを承知で契約し、問題が生じた場合は自己負担で対処
- 条項修正を求める
- 契約不適合責任の部分的な責任を求める
- 地中埋設物について一定額までは売主負担を求める
方針の決定
熟考の結果、「条項修正を求める」方向で進めることにしました。
修正要求の内容
- 契約不適合責任の完全免責ではなく、引渡しから 3 ヶ月間は一定の責任を負ってもらう
- 地中埋設物については撤去費用 50 万円までは売主負担
- 土壌汚染については住宅建築に支障をきたすレベルの場合は売主に一定の責任を負ってもらう
まとめ
買付証明書の提出から契約書案の検討まで、土地購入に向けて大きく前進しました。
この段階で実現できたこと
- 売主からの購入承諾を獲得
- 境界明確化の条件も受け入れてもらえた
- 契約書案の詳細な検討を実施
残された課題
- 契約不適合責任の免責条項への対応
- その他特約条項の詳細な交渉
初めての土地購入ということもあり、契約書の内容は慎重に検討しました。 特に契約不適合責任の免責については、将来的なリスクを考慮して対応方針を決める必要がありました。
次回は、土地契約まで(その 2)として、契約条項の交渉から実際の契約締結までの過程を記事にしたいと思います。
土地購入を検討されている方、特に個人売主との取引を予定されている方の参考になれば幸いです。